業界最大級の振動台試験機で体感する安全性
仕上がりイメージも実際に見ることで納得!
(日経アーキテクチュア2025年9月25日発行号掲載内容)
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業界最大級の振動台試験機で体感する安全性
仕上がりイメージも実際に見ることで納得!
エービーシー商会の建材群を施設全体で感じ取れるテクノロジーセンター開設
エービーシー商会は2025年4月、埼玉県川越市内にABC 商会テクノロジーセンターを開設した。商品の開発・改良・試験・研修まで一貫して行える技術検証施設。同社の建材が施設内にちりばめられているため、その魅力を五感で受け止められる。「百聞は一見に如かず」の貴重な体験を味わいに、建築主とともに訪れたい。

エービーシー商会が開設したテクノロジーセンター。建築主や設計者らの予約見学を受け入れる
もくじ
この記事の読了時間:約3分半
テクノロジーセンター最大の目玉は、3次元大型振動台試験機だ。設計可動量の確認に欠かせない一定周期の波形が変化する正弦波での加振はもとより、実際に観測された地震波の再現にも対応する。
試験対象は、免震および耐震建物用のエキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)。床・壁・天井用の商品を一体で組み付け、試験体とする。それを架台に組み込み、X軸・Y軸・Z軸方向で加振。「試験体はここまで動くのか!」「各商品の取り合い部に破損は生じていないな」など、地震時の挙動を自身の目で直に確認できる。なぜこれだけの寸法が必要なのか、など図面上では理解しにくい設計可動量の必要性も肌で感じることができる。
業界最大級の衝撃は、最大変位量の大きさだ。幅広い設計可動量に対応でき、一度の加振で必要なデータを迅速に得られる。
Exp.J.C.に仕上げ材も施し
その耐久性を見て納得できる
試験体は実物大。兵庫県南部地震や東北地方太平洋沖地震を再現した地震波で加振すると、Exp.J.C.が電車の連結部のように激しく揺れ動く。横揺れの際、通常なら通路の足下に危険な隙間が生じてしまうところだが、床用商品の下には落下防止用のプレートが備えられているため、その心配は無用だ(写真1)。

Exp.J.C. 床用商品の下に設置されたプレート。
加振時、床に三角形の隙間が空く心配はない。
揺れが収まってからは避難経路として問題なく利用できるという安心感も得られる。
加振時に激しく揺れ動くのは、Exp.J.C.だけではない。同社が提供するタイルやデッキ材など床の仕上げ材が併せて取り付けられているため、Exp.J.C.本体の性能確認はもとより、それら仕上げ材への影響や安全性が実際に目の前で確認可能だ。仕上げ材まで含めたトータルで検証できるのは、幅広い建材を扱う総合建材メーカーならではといえる。
加振すると目に付くのは、床用商品が備える先端安全スナップ機構である。仕上げ材と同系色塗装が可能なため、景観との一体感を保ちつつ、見切り材の突き出しによる通行人への衝撃・接触を軽減する仕組みだ(写真2)。

Exp.J.C. 床用商品の先端安全スナップ機構。
クリアランス収縮時、金属製カバーの先端がせり上がった時、近くにいる人を傷付けることがないように、倒れ込む造り。
体験してこそわかる!
安全性と品質・施工の重要性
何より、実物仕様のExp.J.C.を試験機で加振し、安全性を確認できるのがいい。加振を途中で停止して、Exp.J.C.の状況を確認することも可能だ。通常は、商品の開発・改良に利用するが、希望する建築主や設計者には公開する。特に建築主には、ぜひ一度見てもらいたい。
同じ1階のフロアには、塗り床材の施工を体験できるコーナーもある。ここでは、水性のため溶剤の臭いがしないことや仕様による防滑性の違いなどを身をもって体感できる。なかでも、体験を通じて施工の重要性を深く認識してもらうことが狙いだ。
見るだけだと簡単そうだ。塗り床材は水性硬質ウレタン系のタフクリートMH。食品工場でよく使用されるものだ。「延ばす」「押さえる」「仕上げる」と役割の異なるコテを順に使い分けながら、厚さが均一になるように塗っていく(写真3)。

塗り床材の施工実習。施工の難しさを体感する。
ところが実際に体験すると、見た目ほど簡単ではない。最初に用いる「延ばす」コテにはぐっと力を入れないと、ただ表面をなでているだけ。塗り床材は均一には広がらず、微妙な隙間が残る。厚さのコントロールは予想外に難しい。
施工者向けの研修を実施し
塗り床材の品質・信頼向上
なるほど、塗り床材の品質や信頼性の向上には施工レベルを高めることが欠かせない。その点、このテクノロジーセンターでは、塗り床材の施工者向けに施工研修も実施している。品質・信頼性は、商品単独ではなく施工技術とセットなのである。
他にもテクノロジーセンター内を見渡すと、各所が実製品で施工されていることもユニークだ。
例えば、フロア一面に敷かれている置敷き型長尺塩ビシート床材「リコンテ」は、全面的な下地処理や接着剤は不要で、トータルコストおよび施工日数を大幅に削減するとともに、施設の稼働を止めず、利用者の通行を遮断せずに済むのが魅力だ。サンプルでは伝わりづらい実寸での印象や、経年変化などリアルな使用状況を確認できる。多種多様な商品を扱う同社ゆえの強みであり、建物全体のトータル提案が可能である、とよくわかる。
これだけの体験が可能なのは、研究・開発から一貫して手掛け、さまざまな商品を取り扱い、多くの施工実績を持つエービーシー商会だからこそ。建築主を、ぜひお連れしたい。

同社いち押しの商品も多数展示。説明パネルや実物サンプルを使用して紹介してもらえる。

隣接するエービーシー建材研究所の見学も可能。商品の開発力や品質の高さを感じ取れる。
商品の詳細を見る
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アーキウェイブM(免震)シリーズ
- 熱可塑性エラストマータイプ
(可動量350~900mm)
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アーキパンションM(免震)シリーズ
- 免震構造用タイプ
(可動量350~900mm)
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アーキウェイブEシリーズ
- 熱可塑性エラストマータイプ
(クリアランス100~600mm)
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アーキウェイブEシリーズ 床タイプ
- 熱可塑性エラストマータイプ
(クリアランス100/200mm)
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アーキパンションSシリーズ
- 標準スタンダードタイプ
(クリアランス50~200mm)
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アーキパンションHシリーズ
- ハイグレードタイプ
(クリアランス250~600mm)
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アーキパンション車路シリーズ
- 車路用(耐荷重25t)タイプ
(クリアランス50~100mm)
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アーキパンションセミオーダーシリーズ
- セミオーダータイプ
(クリアランス50~600mm)
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アーキパンションTシリーズ
- 高層マンション用手摺りタイプ
(クリアランス300~600mm)
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タフクリートMH
- 耐熱水衝撃性にすぐれる水性硬質ウレタン系塗り床材。
抗菌性があり、食品工場に最適。
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リコンテ
- 接着剤を使わない置敷き長尺シート。施設を使いながら、短期間での施工が可能。