さびや塩害を招かず、身近な環境にも優しい!
「融雪」だけじゃない、「トーカスSi」の底力
融雪剤はいまや、使う場所に応じて製品を使い分ける時代だ。
立体駐車場で使うならやはり、構造物をさびさせないものを使いたい。コンクリートの橋梁であれば、塩害を招かないもの。河川や湖沼の近くなら、身近な環境に優しいものがいい。
さらに住宅の玄関先なら、手軽に散布できるものがありがたい。それらの特性を全て兼ね備えたのが、エービーシー商会が青森県の公設試験研究機関とともに2003年に開発に着手し、2009年に販売を開始した液状の融雪剤「トーカスSi」である。
2023年1月には小型容器入り濃縮タイプを追加販売し、使い勝手をいっそう良くしている。
融雪剤が凍結防止に役立つのは当たり前。その成分がまず、水の凝固点を下げる。除雪後の薄氷は通常0℃で凍結するが、そこに融雪剤を散布すると、氷点下でも凍結しなくなり、水混じりのシャーベット状に。凍結防止で路面は滑りにくくなる。
「その性能に製品間の差はほとんどありません」。そう指摘するのは、エービーシー商会のグループ会社であるエービーシー建材研究所で約20年前、液状の融雪剤「トーカスSi」の開発を担当していた浅井勇人氏(現・東京化学工業技術課課長CE)だ。
「それなら安いに越したことはない」。そう思いがちだが、ちょっと待ってほしい。「融雪」のようにはっきり目に見える機能以外にも、しっかり目を向けたい。
コンクリートや金属の劣化防止へ
その一つが、融雪剤を散布する構造物に用いられている材料を劣化させないか、という点である。道路や橋梁といった社会インフラはもちろん、そこを走行する車両には、コンクリートや金属が利用されている。その劣化防止という視点が欲しい。
コンクリートでは、塩害が劣化を招く。塩化物がコンクリート内に浸透すると、スケーリング劣化を助長させ、また、鉄筋の腐食にもつながりかねない。金属で言えば、さびの発生だ。金属の表面で水や酸素と化学反応を起こし、さびという腐食物を生んでしまう。
問題になるのは、融雪剤として一般的な塩化物系の製品だ。「これらの製品は実は、塩害やさびを招きやすい、と言われています。例えば塩化カルシウムの場合、空気中の水分を取り込み、水溶液になろうとする、潮解という現象が見られます。この潮解が、さびの発生を促すのです」と、浅井氏は解説する。
もう一つ、身近な環境への影響という視点も欲しい。融雪剤が近くの河川や湖沼に流れ込んだとしても、その汚濁につながることはないのか――。
水質を表す指標には、「BOD(生物化学的酸素要求量)」や「COD(化学的酸素要求量)」という数値が使われる。いずれも、水質汚濁の原因である有機物の分解時に消費する酸素の量を示す。量が多いほど、汚濁の度合いは大きい。この指標を利用すれば、融雪剤の流れ込みが河川や湖沼の汚濁につながりそうなのか、把握することは可能だ。
また河川や湖沼に流れ込むのが無機物だからと言って、決して安心はできない。「例えば塩化物系の融雪剤の場合、それが河川や湖沼に大量に流れ込めば、水中の塩分濃度を上げることにつながります。水中生物にとって、それは問題です」。
融雪剤「トーカスSi」は、こうした点にもしっかり目を向けながら開発した製品だ。
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- トーカスSi
- 非塩素系で環境にやさしく持続効果が長い融雪剤(融氷剤)