地震後の「補修疲れ」から解放されたい!

(日経アーキテクチュア2023年3月23日発行号掲載内容)

地震後の「補修疲れ」から解放されたい!

地震後の「補修疲れ」から解放されたい!
災害復旧経験者の新常識、樹脂製Exp.J.C.

建築主からは「もっと早く知りたかった」と、悔やむ声上がる

「脱落・破損も仕方ない」と思われがちなエキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)。しかし実際に脱落・破損すると、補修には費用や労力が思いのほか掛かる。ここ2年で再び大きな地震被害を受けた福島・宮城の両県では、「脱落・破損なし」を望む顧客の声を受け、追従性に富む樹脂製への取り替えが進む。

溝田 俊明 氏

エービーシー商会
東日本アルウィトラ・シーリング事業部
東北営業部 部長

溝田 俊明 氏

地震大国・日本。地震被害の最小化に向け、建材の担う役割は大きい。Exp.J.C.は、そうした災害対策建材の1つ。地震力などの外力を吸収し、躯体への損傷を抑える建材として、1995年に発生した阪神淡路大震災など幾多の被災経験とともに、進化を遂げてきた。

エービーシー商会の樹脂製Exp.J.C.「アーキウェイブ」は2006年、その進化の過程で生まれた先駆的な製品だ。施工実績は、東日本大震災が発生した2011年を境に右肩上がりに増え続け、いまでは2000件を超える。その中で、顧客の声を基に改良を加えてきた。

金属製ではまた同じ結果に
樹脂製で補修時の労力と手間を削減

2021年2月、2022年3月と、約1年の間に最大震度6強の揺れに2度も見舞われた福島県や宮城県では、従来型の金属製Exp.J.C.から「アーキウェイブ」への取り替えが進む。東日本アルウィトラ・シーリング事業部東北営業部の溝田俊明氏は、理由をこう明かす。

「取り替えるにしても同じ金属製では、地震時にまた同じ結果が訪れることは目に見えています。金属製はその特性から、建築物の入り組んだ納まりや地震の複雑な揺れに十分に対応できないからです。さらに、金属製は脱落による二次災害の恐れもあります。補修後に再び脱落・破損を経験すると、少しでもその恐れがないものを選びたい思いが強くなります。」

補修時には、足場の設置や仕上げのやり直しのほか、原因を究明し責任の所在を明確にする必要も生じ、単なる製品交換とは比較にならない労力や時間が要求される。そうした補修時の苦労を避けたいという思いも強く働く。

これに対して「アーキウェイブ」は、熱可塑性エラストマーを用いているため、柔軟に伸縮し、外力に対して全方位に追従する(図1)。製品許容範囲において地震時でも脱落や破損の例は報告されていない。補修時の苦労とも無縁だ。

全方位に追従する樹脂製Exp.J.C.「アーキウェイブ」の確かな機能で顧客の負担も被害も最小限に

図1

クランク部でも一体型施工が可能

クランク部でも一体型施工が可能

柔軟に伸縮する素材と特殊溶着の技術で入隅・出隅・狭小部・クランクなど複雑な納まりでも一体型施工が可能。大きな外力にもしなやかに追従し、脱落リスクは極めて小さい。

2021年2月、震度6弱の地震で被害を受けた東北エリアのスタジアム。ここでは壁面を中心に施工されていた金属製Exp.J.C.を「アーキウェイブ」に取り替えた。「製品のご指名を受け、計200~300mにわたって施工しました。翌年3月に起きた震度6弱の地震では脱落も破損もせずに済みました」と、溝田氏は振り返る。

設置箇所が不均一でも外付け可能に

「アーキウェイブ」は、免震タイプや床タイプなど多彩なバリエーションによって、多様なニーズに応えられる。災害復旧時の採用は、外付けタイプのアジャスタブル仕様(図2)の開発によって一段と増えてきた。標準仕様はクリアランス内に納めるため、躯体状況によっては施工が難しくなる。災害復旧や改修のような現場では、既存躯体に手を加えられない、または大掛かりになるため手をかけたくない場合も多い。アジャスタブル仕様は外付けのためそうした現場でも難なく施工できる。

アジャスタブル仕様で改修や復旧の建物に対応

図2

外付け構造に加え、不均一なクリアランス幅にも最大30mm調整可能な機能を備えている。労力と時間を費やせない改修や復旧の建物に最適。

被災状況は包み隠さずに伝え信頼に
「逆にそれだけ!?」と製品価値に納得

Exp.J.C.は地震力など外力を受けた時の動きまで想定しながら設計・施工する必要があるため、その取り扱いは容易ではなく、美しく納めさえすれば良い、というものではない。実際、製品の選定や納まりなどについて、設計者や施工者からの相談は多いという。

溝田氏はその機会を生かし、顧客に対して「アーキウェイブ」の価値を伝える努力を重ねてきた。単純に良い製品と勧めるのではなく、地震時の実状も明かし、製品の価値が正しく理解されるように努めている。「あるビルでは、地盤沈下などにより躯体が製品の許容可動域を超えて大きく動いたため、Exp.J.C.の留め付けが10mの中で1、2カ所外れた事例は見られましたが、お客様には包み隠さず伝えています」。

被害がこの程度で済むのは、樹脂製の強み。地震の被害状況を目の当たりにし、さらに復旧時の苦労を体感した設計者からは、「その程度で済んだのは、すごい!」と、感嘆の声が上がるという。さらに、「アーキウェイブを知らない建築主様からは『こういうものがあったなら早く知りたかった』という反応もあります」と溝田氏は話す。

予算で諦めず確かな機能で備える
「アーキウェイブでお願いします」

いつ起きてもおかしくない地震への備えは、イニシャルコストが多少高くても、補修の必要が生じなければ結果的には安上がりに済む。また脱落・破損しにくい製品を使い続けるということは、建物の長寿命化にもつながる。

「アーキウェイブ」は、利用経験を持つ設計者がほかの案件でもその採用を提案するほど、「リピーター」が増えている。建築主に安心・安全を提供したいという設計者の強い思いの表れだ。

確かな機能で備える―。その重要性を、「アーキウェイブ」という製品を通じて、顧客にしっかり伝えたい。

東北エリア採用例

アパホテル&リゾート〈新潟駅前大通〉
アパホテル&リゾート〈新潟駅前大通〉
アーキウェイブ Mシリーズ
M60-EUEW・モスブラック
仙石線野蒜駅
仙石線野蒜駅
アーキウェイブ Eシリーズ
EU-100・モスブラック
富谷町立明石台小学校
富谷町立明石台小学校
アーキウェイブ Eシリーズ
EU-100・アイボリーホワイト

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EU-200 振動台可動実験

EU-400 振動台可動実験

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