「セラミックタイル二重床」の独自安全システム
もくじ
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外構の二重床に新たな意匠性を!
セラミックタイルでオープンエアに新たな空間演出を
ニューノーマルな暮らしには、オープンエアで快適に過ごせる空間がこれまで以上に求められます。「密」を避け、空間をより広々と使うためにも、外構を有効活用したいところです。
そんなとき、内外のフロアレベルを合わせることが可能な二重床は大変重宝します。施工面まで基礎の高さを調整でき、さらには、内外の床を同じ素材で揃えれば、空間に一体感が生まれ、広がりを感じさせられます。また二重床は、その下を配線・配管のスペースに活用できるうえ、それらのメンテナンスが容易です。
二重床に利用できる素材としてはいま、一定の強度を持つデッキ材や石材が主流です。それ以外の素材を利用できれば、これまでにない新しい空間演出で、外構の有効活用がより進むでしょう。
それを可能にするのが、「セラミックタイル二重床システム」です。二重床の素材としてセラミックタイルを用いることで、意匠性に幅を持たせられるようになります。新たな素材の活用で二重床の世界は大きく変わります。
20mmの厚さが二重床を可能に
二重床の素材にセラミックタイルが加わると、次のようなメリットが生まれます。
まず汚れにくいという点です。吸水率が低く、汚れにくいのは、セラミックタイルの特長です。外構で使うことを想定すると、これは大きなメリットです。メンテナンスはほぼ不要です。
同じセラミックタイルを直張りで仕上げるのに比べると、下地を造る時間を短縮できるというメリットも見込めます。
何より、二重床に利用できるセラミックタイルにはさまざまな色やデザインが用意されているため、意匠性の幅は大きく広がります。これまでにない空間演出が可能になります。
このセラミックタイルは、「ユーロセラムT20コレクション」という厚さ20mmの受注輸入品タイルです。同じシリーズで厚さ9mm程度のタイルも用意しているため、屋内外の床を同じ柄のセラミックタイルで仕上げることが可能です。
●屋内外で「ブレイブ」シリーズを使用した例
セラミックタイルを二重床に利用できるようになったのは、なぜなのでしょうか。
それは、ヨーロッパのセラミックタイル製造技術が飛躍的に進歩し、さまざまなサイズ、厚みの製造が可能になったからです。20mm厚のセラミックタイルの登場によって、求められる耐荷重性能が確保されるようになったのです。
独自の工夫でタイルの課題克服
セラミックタイルに2つの課題
セラミックタイルに厚さ20mmの仕様が開発されたことで二重床への利用に道が開けたものの、その段階ではまだ、タイルの使用は大幅に制限されるのが実情でした。それは、セラミックタイルが2つの大きな課題を抱えていたからです。
一つは、セラミックタイルが衝撃に弱いという点です。
確かに、厚さが20mmに増し、セラミックタイルの上に載る荷重に対する耐力は高まりました。しかしそれでも、二重床に使用する石材と比べるとかなり薄く、硬くて尖ったものから受ける衝撃に弱い点は変わりません。耐荷重性能と耐衝撃性は異なるのです。二重床の場合、セラミックタイルの厚さが20mmあっても、強い衝撃が加わると、人が踏み抜いてしまうおそれがあります。
セラミックタイルは破損しても、取り替えれば済みます。しかし、それを踏み抜いてしまった人は割れたタイルでケガをするおそれがあります。それは、未然に防ぐことが不可欠です。
もう一つは、石材に比べ軽いという特長が裏目に出るおそれがあるという点です。セラミックタイルは石材に比べ厚みがない分、軽い。躯体に対する荷重負担が小さく済むのはメリットですが、軽いということは強風時に飛ばされやすいということです。タイルを置いて並べるだけでは、飛散して周辺に被害を及ぼすおそれがあります。
最近は台風被害の大きさが目につきます。強風に見舞われる機会が少なくないだけに、セラミックタイルが飛散する危険は放置できません。
タイルの踏み抜きを軽減
セラミックタイルを利用した二重床を実現させるため、当社の建材研究所で安心安全をテーマに試験・検証を重ねながら、これらの課題への対応策に取り組みました。
まず人が踏み抜くおそれについては、セラミックタイルに裏打ち材を施すことで対処しています。強い衝撃を受けた場合、タイルに割れが生じることは避けられませんが、人が踏み抜いてしまうおそれを大幅に軽減できます。
●裏打ち材ありで強い衝撃を受けた場合
<試験内容>
鉄球1kg落下後、被験者(体重100kg)が飛び跳ね高100mmを30回繰り返す。
タイルの飛散を軽減
日本風土を考慮し台風など強風時に飛散するおそれについては、飛散軽減システムを開発しています。それは、専用金物・ビスを用いて、タイルを束や根太に独自の工法によってしっかり固定し、タイルの飛散を軽減する、というものです。送風試験の結果、「風速50m/s まで異常なし」を確認しています。
<試験条件>
吹出口開口寸法 | :1,200mm×400mm |
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試験風速 | :20、25、30、35、40、45、50m/s |
試験時間 | :2分 |
送風機吹出口から試験体までの距離:200mm
タイル固定、アンカーあり、幕板あり
デッキ材との組み合わせが可能
安全・安心の2工法を独自開発
ABC商会のセラミックタイル二重床の工法は、当社で独自に開発したものを含め3つご用意しています。
まず、施工場所に束を一定間隔で並べ、そこにセラミックタイルを置いていくだけの工法です。一般的にはこの工法が取られています。もちろん、タイルに裏打ち材は施されていませんし、専用金物を用いた飛散軽減システムも用意されていません。そのため、人が踏み抜くおそれも、強風時に飛散するおそれもあり、使用可能な場所には限りがあります。ここでは「簡易束工法」と呼びます。
残る2つは、当社で独自に開発した安全・安心の工法です。いずれも踏み抜き軽減策と飛散軽減システムを採用している点で、簡易束工法とは大きく異なります。
そのうちの一つが、同じように束を用いる工法です。
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樹脂束である「バーシジャック」を用いることから、「バーシジャック束工法」と呼んでいます。
この工法は、樹脂束の上に裏打ち材を施したセラミックタイルを使用し、専用金物・ビスをタイルで挟み込んでいくものです。二重床の平滑性を都度確認し、タイルの位置がある程度固まった段階で、ビスをしっかり束に固定します。
もう一つは、束のほか、大引や根太を組み合わせる工法です。
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樹脂束である「アースデッキジャック」を用いることから、「アースデッキジャック根太工法」と呼んでいます。大引と根太にはいずれも、ハット型ZAM材を用いたものを利用します。
この工法も、セラミックタイルには裏打ち材を施したものを用います。タイルは根太に用いるZAM材の上に置くため、ガタつかないようにゴム製の専用クッション材をタイルの四隅に貼り付けます。
セラミックタイルに専用金物・ビスを挟み込むのは、バーシジャック束工法と同様です。タイルの位置がある程度固まった段階で二重床としての平滑性や目地幅を確認したうえで、専用金物を根太にビス留めします。
この工法は、二重床としてデッキ材を利用するときの工法と同じです。
設置環境次第で工法使い分け
これら2つの工法は、二重床を設置する環境に応じて使い分けます。例えば低層階で四方に腰高程度の壁の立ち上がりがあり、床下に風が入り込まない環境であればバーシジャック束工法、中層階で床下に風が入り込まない環境であればアースデッキジャック根太工法が適しています。ただしこれは、あくまで目安です。設置環境によって最適な工法は変わります。
踏み抜き防止策があっても、二重床は直張りに比べると、タイルが割れる可能性がはるかに高くなります。そのため、強い衝撃が加わると想定される場所では、直張りをおすすめする場合があります。使用環境をしっかり確認させていただいたうえで、可能な工法をご提案いたします。
利用の仕方としては、ほかの素材を用いた二重床との組み合わせも考えられます。
例えばデッキ材です。ともにアースデッキジャック根太工法で施工することから、セラミックタイルとの組み合わせは容易です。
●デッキ材(アースデッキソリッドグレイン)とセラミックタイルの組み合わせ図面
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しかもデッキ材は、セラミックタイルと違って現場加工しやすく、平面上に円弧を描くような形状も表現できます。こうした現場加工の可能なデッキ材と組み合わせれば、それぞれ単独では表現し切れない空間を演出できるようになります。デッキ材とセラミックタイルという素材の違いを生かし、空間を切り分けることも可能です。
●セラミックタイルとデッキ材の組み合わせ
セラミックタイル二重床システムを、どこで、どのように利用できるのか――。さらに詳しいことをお知りになりたい方は、当社にぜひご相談ください。
●施工写真
商品の詳細を見る
- セラミックタイル二重床システム
- T20コレクションタイル用二重床システム(裏打ち材付)
- ユーロセラム T20コレクション
- 20mm厚の自然石調、大理石調タイル