食品工場・厨房に最適な床材は? Part2
もくじ
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一般的に食品工場・厨房の床に求められる機能は、主に次のことが挙げられます。
- ①滑りにくいこと(安全性)
- ②清掃・洗浄がしやすいこと(衛生管理上の要件)
- ③壊れにくいこと(耐久性)
ただ、製造現場の環境に応じて、重視される床の機能は異なります。また、一言で床材といっても多くの種類があり、それぞれに「適する」「適さない」使用環境があります。
なぜ、短期間で不具合が発生するのか
「適する」使用環境であれば、一般的に塗り床では10年以上、長尺シートでは約10~20年の耐久年数を有するとされています。しかしながら、施工して間もないにもかかわらず、はがれ、割れ、ひび、変色などの不具合が発生することがあります。
なぜ、短期間でこのような不具合が発生するのでしょうか。
最大の原因は、使用環境に「適さない」床材を選んだことにあると考えられます。
はがれ、割れ、変色が発生する原因
まず初めに、考えられるのは使用するエリアと床材が「適さない」場合です。
具体的な例を交えてみてみましょう。
食品を煮炊きする回転釜を使用する製造現場では、洗浄するために洗剤と水を釜に入れて沸騰させます。汚れを浮き上がらせた後、熱水は床に流します。耐熱性のない床材を選定していた場合、熱水による頻繁な衝撃が大きな負荷となり、樹脂を劣化させます。さらにそこに台車などの荷重が加わったり、その熱衝撃により生じたひびに水が浸入し、下地のコンクリートまで達すると、徐々に塗り床が浮き、はがれを発生させます。
製造現場では、効率良く短時間で大量に生産するため、重い物の移動には台車や搬送車などのさまざまな道具が活用されています。キャスターや搬送車の性能は日々向上していますが、同時に床材への負荷もますます大きくなっています。また、硬くて鋭利な物を床に落とすことも、ひび割れが起きる原因になります。
もともと塗り床材は薬品からコンクリートを保護するために開発されたものですが、酸やアルカリ、溶剤の種類、濃度および接触期間によっては塗膜の軟化や変色などの不具合が発生します。例えば次亜塩素酸ナトリウムなどの殺菌洗浄剤は変色の原因となります。
また、実際の使用条件と床材が「適さない」場合もあります。
工場の床を設計する際には、さまざまな使用条件を確認のうえ、床材を選定していきます。
ところが、正しい床材を選定していたとしても、実際に工場が稼働すると熱水の温度や荷重の負荷の度合いなどが想定と異なっていたということも少なくありません。想定と異なる使用方法をしてしまうと、破損などの原因となってしまいます。
このように床材の選定にあたっては、「床にかかる負荷」と「現場での実作業」を把握することが重要なのです。
使用環境に適した床材とは?
では実際にどのような場所にどのような床材が「適する」のでしょうか。
A 回転釜付近
熱水を頻繁に使用するエリアでは、耐熱性の高い床材選びが必要です。頻繁に熱水がかかる箇所へは使用する熱水温度に耐えられる製品を選ぶことが求められています。また床材が、下地のコンクリートまで熱が伝わらないように保護する役割も担うため、塗り床材が適しています。
そのなかでも、水性硬質ウレタンは高い耐熱性能を持っており、最大120℃の熱水に耐えることができます。
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B 作業場・通路
台車などの使用や、物理的な衝撃を受けやすい作業場や通路では重量物の走行に対する耐衝撃性、耐摩耗性を考慮する必要があります。代表的な床材としてエポキシ樹脂、水性硬質ウレタンなどの塗り床材が挙げられます。
軽度の使用環境であればエポキシ樹脂系、過酷な使用環境の場合は水性硬質ウレタンが適しています。また、仕上げについては、平滑タイプ、または防滑タイプを選択することが出来ます。いずれにしても使用環境にマッチした製品を検討することが重要です。
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C 薬液保管エリア
消毒薬や漂白剤などを保管するエリアでは、薬剤に対する耐性をもつエポキシ樹脂系の塗り床材が適しています。薬剤の使用条件によっては塗膜の軟化や変色などの不具合が発生します。エポキシ樹脂系でも対応できない場合は、ビニルエステル系の塗り床材を選定するとよいでしょう。ビニルエステル系は高濃度の酸やアルカリ、または有機溶剤にも耐性があります。このように、保管する薬品や使用条件に応じてエポキシ樹脂系またはビニルエステル系の塗り床材を選定することが望まれます。
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D ドライエリア
乾いた状態を求められるドライエリアでは、長尺シート床材が適しています。長尺シート床材のなかでも骨材が練りこまれているものは、防滑性があり濡れていても滑りにくい一方で、表面に凸凹がなくフラットであるため、汚れが付きにくいのが特長です。表面は通常フラットな状態ですが、荷重がかかると塩ビ層が沈み込み、シートに練り込まれた防滑用骨材がシート表面に露出し、すべり・転倒を防ぎます。また硬質骨材の練り込みにより、すり減りに強く、高い耐摩耗性を備えており、長期的にご使用いただけます。
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適材適所の床材を選んで衛生的な製造環境づくりへ
床の改修は費用やスケジュールの関係上、頻繁に行なうことは現実的ではありません。そのため、設計段階で最適な床材を選ぶことが、ロングライフな工場づくりにおける重要課題となります。ただ、床材には非常に多くの種類があり、選定には専門的な知識も必要になる場面もあります。
そのため選定時には製造現場の実際の状況を詳しく調査し、床材メーカーの アドバイスも得ながら、適材適所の床材を選ぶことをおすすめします。
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