物流施設の動向から理想の「床づくり」を考える Part1

物流施設の動向から理想の「床づくり」を考える Part1

「小口化」「自動化」が進む物流施設

EC市場の伸びで貨物が小口化

物流施設の建設が堅調です。
背景にはまず、電子商取引(EC)市場の伸びがあります。この約10年で見ると、EC市場規模も物販系EC化率も右肩上がりの伸びを見せています。新型コロナウイルス感染拡大の中で生まれた巣ごもり需要が、これをさらに加速させています。
供給サイドにも追い風が吹いています。大都市圏では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)など環状道路の整備が進み、交通アクセスが便利になると共に建設適地が広がっています。不動産投資市場が整備され、超低金利下に利回りを確保できる投資先として注目されてもいます。

●EC市場の伸び

EC市場の伸び

※経済産業省「電子商取引に関する市場調査」

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建設が堅調に進む中、求められる機能には変化が見られます。
その典型は、保管型倉庫から、スルー型の物流センターへの移行です。保管型倉庫のように在庫を置く拠点としての機能ではなく、多頻度で迅速な入出荷対応や流通加工も含めた多機能化などが求められるようになってきました。
また取り扱う貨物は消費財が増え、小口化の傾向が顕著に表れています。物流施設では、小口の消費財が、多頻度に出入りするようになってきたのです。

●物流貨物の小口化

物流貨物の小口化

※国土交通省「全国貨物純流動調査」

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もう一つの機能変化は、自動化です。多機能が求められるようになり、物流施設は大型化しています。人手不足の中、大型施設を効率良く運営するには、自動化は欠かせません。すでに各種のロボットが、ピッキングや棚入れなどの作業をアシストしています。

求められる耐摩耗性や平滑性

機能変化には適切な対応が不可欠です。ここでは、物流施設のコンクリート床をどのように仕上げるかという「床づくり」の面から見ていきましょう。

コンクリート床に求められる性能の一つは、耐摩耗性です。重量物を扱うのでなければ耐衝撃性までは求められませんが、表面が摩耗し施設内に粉じんが舞うようなことは避ける必要があります。
また平滑性も見過ごせません。各種のロボットが施設内を走行することを前提にすると、床にはその走行に支障を来たさない平滑性が欠かせません。平滑性は、コンクリート仕上げを入念に行うことで得られます。

さらに汚れが付きにくく、美観を保てることも重要です。近年は潤沢な投資マネーを背景にデベロッパーがマルチテナント型の施設を建設する例が少なくありません。テナントから選ばれる施設にするためにも、汚れにくさには配慮が必要です。

耐摩耗性にすぐれる表面強化材を

化学反応でコンクリートと一体化

物流施設のコンクリート床で耐摩耗性を確保するときに施工する床仕上げ材が、コンクリート床表面強化材です。短工期・適正な価格でメンテナンスに手が掛からないことから、多くの物流施設で床の仕上げとして施工されています。

強化のメカニズムは、3つの段階に分かれます。まず表面強化材を散布・塗布すると、コンクリート表層に浸透し、水分の蒸発とともに、細孔をふさぎます。塗布後2,3時間たつと、表面は硬化物に覆われます。その後、表面強化材はコンクリート中のカルシウムと反応を続け、コンクリートと完全に一体化します。塗り床と違ってはがれることがないため平滑性が損なわれないのが、特長です。
硬化した表面強化材の表面は耐摩耗性にすぐれるため、すり減りを受け難くなります。また、緻密な床表面が形成されるため、汚れが付きにくいという特長も持ち合わせています。

表面強化材のメカニズム
表面強化材のメカニズム

商品としては、新しく開発した「エルキュア(旧称:セラミキュアLi)」と長年の実績を持つ「セラミキュア」の2種類を用意しています。「エルキュア」は旧称に表れているように、ケイ酸リチウムを主成分とするものです。
これに対して「セラミキュア」は、ケイ酸ナトリウムを主成分としています。

その違いは、表面強化材塗布後に必要な工程の差として表れます。
コンクリート表面強化材に「セラミキュア」を用いた場合、余剰分をふき取る工程が必要で、その余剰分については、産業廃棄物として排出し、適正に処理することが求められます。一方、「エルキュア」ではその工程は不要で産業廃棄物を排出しません。
主成分の違いはまた、塗料の接着性の差としても表れます。
物流施設のコンクリート床は表面強化材を施工後、ライン塗料で境界や区画などを表示することがあります。表面強化材に「セラミキュア」を用いた場合は、塗料の接着性を高めるため、その施工前に目荒らしの作業を必要としますが、「エルキュア」を用いた場合は、その作業なしで直接施工できます。

安定品質・安定供給の国産品

こうした違いが生まれるのは、ケイ酸リチウムとケイ酸ナトリウムとの間にはコンクリートとの反応時間に違いがあるからです。リチウムが比較的短時間に反応を終えるのに対し、ケイ酸ナトリウムは2~3年間の長期間にわたって反応し続けるのです。
この差が、工程や塗料の接着性の差として表れますが、最終的な物性に変わりはありません。そのため、コンクリート表面強化材の基本性能である耐摩耗性はほぼ同じ。テーバー摩耗試験では、摩耗減厚はともに、コンクリート表層にあるモルタルの3分の1程度で済むことが確認されています。つまり、表面強化材を用いない場合に比べ、耐摩耗性を3倍程度に高められるわけです。

また当社で開発・生産する国産品であることも共通です。強みは何よりまず、在庫を基に安定供給が可能な点です。また、商品の改善には、必要に応じてすぐに取り組むことも可能です。万が一不具合が生じたときには、迅速に原因を突き止められます。品質管理の徹底まで含め、自社で責任を持って対応しているからこそ、お客様に安心感と確かな品質をご提供できるのです。

仕上げの仕様には、「スタンダード」「ポリッシュ」の2タイプを用意しています。「スタンダード」は、コンクリートに耐摩耗性を付与する標準的な仕様です。フォークリフトが頻繁に走行する物流施設の土間やスラブにおけるコンクリート素地の表面改質として、一般的な工法です。一方「ポリッシュ」は、特殊研磨(ポリッシュ)の工程を加えることで、より緻密で滑らかな表面を持つ良質な床に仕上げます。産業用途のコンクリート素地による床仕上げで機能・外観とも最良の仕様です。

スタンダード仕様

スタンダード仕様

ポリッシュ仕様

ポリッシュ仕様

推奨は2回塗布するダブル工法

「エルキュア」にしても「セラミキュア」にしても、塗布する工法は3つあります。

まずA工法と呼ぶものです。この工法はコンクリート打設後の保湿養生を終えてから7日以内の段階で表面強化材を塗布します。工程の都合上、施工を急ぐ場合に向いている工法です。建設作業で発生する床汚れを除去しやすくなります。

これに対してB工法は、コンクリート打設後の保湿養生を終えてから1カ月以上経過後、表面強化材を塗布するものです。下地コンクリートの強度をしっかり発現させた段階で塗布する一般的な工法です。

おすすめは、A工法とB工法の併用です。コンクリート打設後の保湿養生を終えてから7日以内の段階と、そこから約1カ月以上の段階と、2度にわたって表面強化材を塗布する工法です。コンクリート表面強化材による、より良質な床を提供する工法としては、この「ダブル工法」が最適です。

■スタンダード仕様

スタンダード仕様

■ポリッシュ仕様

ポリッシュ仕様

本工法は建物内における主面積を対象とした工法です。研磨機が入らない小部屋・通路および壁際・柱回りなどの端部については対応できません。

求められるグレードや建設工事のスケジュールに合わせて、適切な工法をご選定ください。

参考文献:国土交通省「物流不動産の変遷イメージ図」「物流不動産の隆盛の背景や理由」

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