味わいのあるコンクリート床を演出

フロアに立体感を生むデザイン性豊かな「型押し」

フラットなコンクリート床に、適度な陰影を付けることで立体感も生み出せます。自然な質感の天然石張り、足触りの良さそうなフローリング、凹凸のあるレンガ敷き......。見た目には、それぞれの素材で仕上げたかのようです。

天然石調

天然石調

木目調

木目調

レンガ調

レンガ調

これらの床仕上げはどれも、「コンクリート一体型」。コンクリートの打設時に粉末状の仕上げ材料を表面にすり込み、コンクリートとともに硬化させることで、それらを一体化させたものです。一般には「モノリシック工法」(※)と呼びます。

立体感を付けるのは、「型押し」です。仕上げ材料をすり込み、コンクリートが硬化する前に、天然石調、木目調、レンガ調などの押し型を当てて、コンクリート床の表面に各素材の風合いをつくり出します。

「型押し」イメージ

「型押し」イメージ

床仕上げとして一枚岩の強さを持つ

「コンクリート一体型」の特長は、仕上げ材料がコンクリート床と一体になるという点です。そのため、仕上げ材料がコンクリート床からはがれることがない。コンクリート床に味わいをもたせ、さらにコンクリート床の仕上げとして言わば一枚岩の強さを発揮できるわけです。

下地と一体化イメージ図

下地と一体化イメージ図

タフで多彩な表情を持たせられるこの仕上げは?

材料は、セメント、骨材、顔料の構成

「コンクリート一体型」の具体的な施工方法をコンクリートの打設から養生までの流れに沿ってみていきましょう。

打設から表面を水平に均すまでの作業を、躯体工事を担当する元請け業者が終え、床の上に人が乗れる半乾きの状態になると、左官業者の出番です。まず木ゴテや機械ゴテを用いてセメントペーストをコンクリートの表面に浮きあがらせます。
この段階で粉末状の仕上げ材料をコンクリートの表面に散布します。仕上げ材料の成分は、セメント、骨材、顔料。コンクリ―トの成分とおおむね共通です。

①施工方法(前半)

元請け業者
コンクリート打設、均し
コンクリート打設、均し
下地づくり
下地づくり
左官業者
材料の散布
材料の散布

散布した材料をコンクリートにすり込む

散布した仕上げ材料がコンクリート表面の水分を吸収し、色が濃くなったら、木ゴテや機械ゴテを用いてそれをコンクリートにすり込んでいきます。
すり込みを終えて数時間たつと、次は金ゴテ押さえです。一通り押さえ終えて数時間たったら、最終仕上げの押さえで施工を終えます。

養生も忘れてはいけません。夏は24時間程度、冬は48時間程度、気乾養生したうえで、さらに1~2週間以上、保湿養生するのが推奨です。
「コンクリート一体型」のメリットは、こうした同時施工という特長から生まれます。それは、ほかの仕上げ材を用いるのに比べ、工期やコストの面で有利という点です。

②施工方法(後半)

左官業者
すり込み・押さえ
すり込み・押さえ
養生
養生

同時施工だから工期・コスト上も有利

例えば塗装で仕上げる場合、コンクリートの打設と金ゴテ押さえを終えると、コンクリートの硬化・乾燥を待つ養生期間を置きます。そのうえで塗装を実施し、さらにその乾燥を待つ養生期間も確保しなければなりません。
これに対して「コンクリート一体型」であれば、コンクリートの表面を仕上げ、硬化・乾燥を待つ間に、仕上げ材を施工していきます。コンクリートの仕上げ・養生期間と仕上げ材の施工・養生期間が重なり合うため、工期は自ずと短くなります。

期間・コスト削減のイメージ

期間・コスト削減のイメージ

コスト面では、仕上げ材だけの施工コストが掛からなくなります。もちろん「コンクリート一体型」でも、仕上げ材料を散布し、コンクリートにすり込む作業は発生します。しかし、それらの作業はコンクリートの仕上げ作業に含まれます。「コンクリート一体型」としてのコストは、仕上げ材料のコストだけで済むわけです。

※あらためて知っておきたい「モノリシック工法」の基本

ご紹介してきた「コンクリート一体型」の床仕上げを一般には、「モノリシック工法」と呼びます。ポイントは、

  • ①コンクリート打設時に同時に施工する
  • ②硬化する前のコンクリートに散布型の仕上げ材料をすり込む
  • ③下地のコンクリートと一体化する

――という3点です。

モノリシック工法

同時施工だからこそ、工期・コスト面でメリットが生まれ、コンクリートからはがれないという強さを発揮します。成分は、セメント、骨材、顔料。コンクリートになじみやすい組み合わせです。しかも骨材が耐摩耗性を発揮し、床仕上げとしての耐久性を高めます。
国内では1950年代から、工場、倉庫、駐車場などに採用されてきました。その後、材料の成分や仕上げ方法の工夫で採用する現場が増加。いまでは、店舗、個人住宅のカーポート、配送センター、卸売市場、航空機格納庫など、幅広く採用されるようになっています。

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  • コラム
    • ●カラーや仕上げで意匠性に幅広い対応力
    • ●骨材の違いで耐久性にも幅広い対応力
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    • ●工場・倉庫などではコンクリート床仕上げの定番
    • ●耐久性の高さはコンクリート一体型の歴史が証明
    • ●コンクリート一体型はなぜ、耐久性が高いのか?
    • ●その強さを生かすには、下地の品質や養生が重要

ABC商会の「コンクリート一体型」床仕上げ

デザインクリート/ペーストデザインクリート
コンクリート表面にパターンマットを押し当て立体感のある自然石や木目模様を多彩に表現する床仕上材。
ペーパーステンシル
コンクリート打設と同時に型紙で仕上げるスピード施工。
凹凸の少ないバリアフリー床に。
カラクリート
コンクリートと一体化する耐久床のスタンダード。鉱物骨材を配合し多彩なカラーを展開。
フェロコン
合金骨材配合ですぐれた耐摩耗性と耐衝撃性を発揮。
工場・倉庫などに最適。
べスコンカラー
鉱物骨材配合で耐海水・耐塩化物性をもち臨海地域に最適。
AGV走行にも対応。
カラーハードEM
大粒の硬質鉱物骨材配合と厚撒き仕上げで驚異的な耐摩耗性と耐久性を実現。
フェロコンハードS(スタンダード)散布工法
コンクリートと一体化する高耐久床。特殊合金骨材配合で抜群の耐摩耗性と耐衝撃性を発揮。
フェロコンハードC(非磁性タイプ)散布工法
セラミック骨材配合でAGV走行に対応。塩水のかかる卸売市場・漁港に最適。
モノリシック・コンプリートフロアシステム
コンクリートと一体化するモノリシック床を緻密で平滑にし、汚れにくくする専用システム。