日常生活に溶け込む人工大理石

発想が膨らむ人工大理石

自由な発想でデザインしやすい素材として、「人工大理石」を好んで使う設計者やデザイナーは少なくありません。空間を引き立てるようなオリジナルのキッチンカウンターや洗面台などが数多くつくられています。そして、人工大理石を使うたびにその可能性を再認識し、さらに発想を膨らませて新しいプロダクトを追求していくようです。

一方、人工大理石を使った経験がない人からは、「興味はあるけれど、実際に使ってみようとするほどその魅力が十分には分からない」という声が少なからず聞かれます。
そこで今回のコラムでは、人工大理石の特性をはじめ、「どのようにして製品をつくるのか」といった基本を紐解いていきます。

身のまわりにある様々な製品

人工大理石の使われ方は多彩です。キッチンのカウンターやシンク、洗面台などの水まわりをはじめ、家具・什器・受付カウンター、屋外のワークトップ、ベンチなど、身のまわりのさまざまな部位や場面で使われています。

キッチンカウンターの使用例

キッチンカウンターの使用例

洗面カウンターの使用例

洗面カウンターの使用例

受付カウンターの使用例

受付カウンターの使用例

大理石の代用品ではない

これほど多彩な使い方ができる人工大理石とはどんな建材なのでしょうか?
用語からすると「大理石」の代用品といった印象を受ける人がいるかもしれません。しかし、基本的には天然石などの無機素材は含まず、樹脂でつくられる有機素材です。ただし、模様や柄を出す場合に天然石などを混ぜることはあります。
実際の使われ方を見ても、大理石の代用品といった印象はあまり受けません。素材の特性を生かした人工大理石ならではの使われ方が多く見られます。

人工大理石は「人造大理石」とは違う

「人造大理石」は全く違う仕上げ材

ところで、人工大理石とよく似た用語に「人造大理石」があり、しばしば混同されます。
明確な定義はありませんが、人工大理石と人造大理石は全く違う素材で、一般的には次のように区別されています。

人工大理石はアクリルなどの樹脂を主成分とし、基本的に工場で加工してつくります。着色のための顔料や、柄をつけるための骨材を混ぜることがあります。

人造大理石は塗り材が基本

それに対して、人造大理石はセメントなどの主材に、自然石や樹脂などの骨材を混錬する仕上げ材で、一般に「テラゾー仕上げ」とも呼ばれます。最近ではタイルなどのテラゾー仕上げ風の成形品もありますが、基本的には現場で施工する塗り材です。

素材も用途も異なるので、双方を比較検討することはあまりないはずですが、用語が似ているので混同されることがあるようです。人造大理石については、別途コラム(ページ下にリンク先)をご参照ください。

人工大理石の代表格「コーリアン®

コーリアン®は「アクリル系人工大理石」

話を人工大理石に戻しましょう。
人工大理石というと、多くの人が連想するのが「コーリアン®でしょう。コーリアン®は1965年に米国デュポン社が開発したもので、同社の登録商標です。世界中で利用され、知名度が高いこともあり、コーリアン®を人工大理石に代わる一般名称のように使う人もいます。
そこで、ここから先は、人工大理石の代表格とも言えるコーリアン®を中心に話を展開していきます。

コーリアン®は、建材としては「アクリル系人工大理石」に分類されます。ひと口にアクリル系樹脂と言っても、そこにはいくつもの種類があります。コーリアン®は、アクリル系樹脂のなかでも特にすぐれた物性を持つ「メタクリル樹脂」を用いるものです。(※)

※詳細はページ下「アクリル樹脂・メタクリル樹脂とは?」参照

加工性も物性もすぐれるコーリアン®

コーリアン®は、キッチンや洗面などの水まわりや、屋外のように厳しい使用環境下でよく使われています。それを可能にしているのは、コーリアン®の主成分であるメタクリル樹脂がすぐれた物性を持ち、長く品質を保てるからです。
加えて、とても加工性がよいことが、設計者やデザイナーの意図を反映した意匠性の高いプロダクトをつくりやすくしています。

加工性も物性もすぐれるコーリアン

●アクリル系人工大理石コーリアン®の主な特性

加工性

デザインの自由度が比較的高い
湾曲・3次元加工や、シームレス接着による大型造作もできる

  • 耐候性

    直射日光が当たる場所でも
    色調が変化しにくい

  • 耐熱性・耐熱水性

    熱がかかる環境下でも
    外観が変化しにくい

  • 耐汚染性・耐薬品性

    食品の汚れが染み込みにくく
    薬品に侵されにくい

  • メンテナンス性

    日常の手入れは
    濡れた布などで拭き取るだけでよい

※白色のみ

コーリアン®を使った製品のつくり方

「原板」を組み立ててつくる

コーリアン®の製品は、板状の「原板」を組み立ててつくります。
原板から必要な部材を切り出し、接着などの加工を施して、設計された形状に組み立てていきます。そのため、様々な形に部材を切り出して、自由な形状をつくることができます。
部材自体は板状の面材ですが、湾曲やねじれといった加工ができるので、3次元的なデザインも可能です。また、出隅・入隅のラウンディングなど、ムク材だからできる加工によってディテールの表現を追求したり、色柄の異なる部材を組み合わせたりすることも可能です。
こうした製作プロセスからすると、コーリアン®には無限のデザインの可能性があると言えるでしょう。

※原板:3,658×762mm・12mm厚の平板など

接着面が分からない「シームレス加工」

そのとき気になるのは、接着面です。
接着したラインや、組み合わせた部材の小口は、どのように処理するのかが気になるところですが、実際にコーリアン®の製品を見て、接着面に気付く人はまずいないでしょう。
というのも、部材同士の接着に「シームレス接着」という独自の特殊技術を用いるからです。シームレス加工は文字通り、接着部分が目立たないように開発された専用接着剤を用いる接着(圧着)技術です。圧着強度も非常に高いので、常識的に使用する限り、接着面がはがれたり割けたりすることはまずありません。

シームレス接着を映像でご紹介(3分)

意匠性を追求した規格品も充実

自由なデザインが可能なコーリアン®ですが、オリジナルで設計しなければいけないわけではありません。最近では、洗面カウンターやシンク・ボウルなど水まわりを中心に、規格品も充実しはじめています。標準寸法はありますが、ある程度自由に調整できるセミオーダーのような規格として汎用性を持たせています。

●規格品も充実したコーリアン®の製品

製品
製品
製品
製品

人工大理石には「ポリエステル系」もある

「ポリエステル系人工大理石」とは?

さて、ここまでコーリアン®について解説してきましたが、実は人工大理石はコーリアン®に代表されるアクリル系人工大理石だけではありません。
アクリル系と並んでメジャーなものとして「ポリエステル系人工大理石」があります。その名の通りポリエステル系樹脂を用いるもので、物性や製品のつくり方はアクリル系とは全く違います。

アクリル系人工大理石(コーリアン®)と、ポリエステル系人工大理石とはどう違うのか?
双方の違いを知ることで、目的などによってどちらを選ぶべきなのかが見えてくるでしょう。
それではそれぞれの違いを見ていきます。

組み立て式のコーリアン®、樹脂を型に流し込み硬化させるポリエステル系

製品のつくり方は全く違います。前述のように、アクリル系人工大理石(コーリアン®)は、板状の原板から切り出す部材を接着する「組み立て式」です。
一方、ポリエステル系人工大理石は、型を用いてつくる成形品です。基本的にメーカーがオス・メスの型を製作し、その隙間に樹脂を流し込んで硬化させてつくります。型製作には費用がかかるので、大量生産によってコストパフォーマンスを高め、できるだけ製品価格を抑えるのが、ポリエステル系人工大理石の基本的な考え方です。仮に、ポリエステル系人工大理石でオリジナルの製品をつくろうとすると、オリジナルの型を製作するコストが発生します。

ライフサイクルで見れば高価ではない

アクリル系人工大理石(コーリアン®)とポリエステル系人工大理石とではコストにも違いがあります。
まず、素材自体のコストが違います。よく知られるように、アクリル系樹脂のほうがポリエステル系樹脂よりも高価です。
また、前述のように、製品のつくり方が全く違うという点でも価格に差が出ます。コーリアン®は一部の規格品を除けば、基本的にオリジナル一品生産です。
一方のポリエステル系人工大理石の製品は量産される成形品です。メーカーが用意した既製品のサイズや形状から選ぶのが基本です。
オリジナルの一品生産のほうが、大量生産の既製品よりも高価になるのは当然ですが、つくり方が全く異なる両者のコストを単純に比較することにはあまり意味がないでしょう。

また、前述のようにコーリアン®耐久性やメンテナンス性といった点で非常にすぐれた素材なので、10年、20年というライフサイクルの観点に立てば決して高価とは言えないはずです。

デザインの可能性が広がる素材

ここまで見てきたように、コーリアン®に代表される「人工大理石」について改めて整理してみると、設計・デザインの意図や、使用する場所などに応じて適切な素材・製品を選択することが大切だと分かります。
裏返して言えば、それだけ選択の幅が広く多彩なため、デザインの可能性が広がる素材といえます。

※アクリル樹脂・メタクリル樹脂とは?

アクリル系樹脂にはいくつもの種類がありますが、なかでもアクリル系人工大理石「コーリアン®」に使われる樹脂について解説します。

アクリル樹脂

代表的なプラスチックの一種。アクリル酸またはメタクリル酸重合体合成樹脂の総称です。

メタクリル樹脂

アクリル樹脂のうち、耐候性や高い透明性をもつ熱可塑性プラスチックです。
ガラスより軽く透明性にすぐれ、身近なところではメガネのレンズやテレビモニター、鑑賞用水槽などに使われています。

アクリル系人工大理石(コーリアン®

メタクリル樹脂を使用し物性を強化した人工大理石で、代表的なもの商品がデュポン社の「コーリアン®」です。
メタクリル樹脂は表面硬度の高い素材ですが、さらに耐傷性、耐溶剤性などを補うために無機材を合わせて「メタクリル強化無機材」としたものがコーリアン®です。

●人造大理石に関するコラム

参考:コラム「自然な素材感で復活!いま注目を浴びるテラゾー仕上げ」

https://www.abc-t.co.jp/columns/201904terrazzo01.html

ABC商会の人工大理石

コーリアンシート コーリアンシート
加工性にすぐれた人工大理石素材。穴あけ・曲げ・シームレス加工が自在。
スタンダードカウンター (ボウル一体型) スタンダードカウンター (ボウル一体型)
ベーシックデザインのカウンター。サイズの規格化で価格もリーズナブル。
アソートカウンター アソートカウンター
豊富なカラーのカウンターとボウルを一体成形。
多彩なデザインをラインアップ。
ホスピタリティーカウンター ホスピタリティーカウンター
一体成形による優しいフォルム。
カウンター下スペースが広く、車イスにも対応。
フラップ フラップ
幼児が使いやすいサイズの手洗いカウンター。
一体成形で多彩なカラー。