製造現場の床材は平滑性と防滑性のバランスを4段階に分けた「タフクリート特別仕様」を採用

御社の工場では床材に対してどのような機能を求められていますか。

赤羽 主に耐久性、耐衝撃性、耐薬品性、耐熱性などを共通の要件としています。平滑性と防滑性についてもいずれも重要な機能ですが、表面が相反する構造になるため、実際の工場環境に応じて最適なバランスになるよう使い分けています。

製造室に施工されたタフクリート 雪印メグミルク様 特別仕様 平滑工法・#2233
製造室に施工されたタフクリート
雪印メグミルク様 特別仕様
平滑工法・#2233

タフクリートMHを改良した特別仕様を採用されているとのことですが、なぜ改良をされたのですか。

処理室に施工されたタフクリート 雪印メグミルク様 特別仕様 防滑工法・#2111
処理室に施工されたタフクリート
雪印メグミルク様 特別仕様
防滑工法・#2111

赤羽 タフクリートMHは耐熱、耐水、耐薬品、防滑、抗菌性のいずれも備え、食品工場に適した多機能な塗り床材ですが、そのままでは前述した平滑性と防滑性のバランスが工場内各室に厳格に求められる現場の要求に対して満たされませんでした。製造現場では、塗り床に対して清掃・洗浄のしやすさと滑りにくさのいずれもが非常に強く求められます。この両立を図るためには、どうしても独自の仕様に改良する必要がありました。
そこでエービーシー商会さんに直接相談し、平滑性と防滑性が各部屋で最適なバランスになるよう4段階に分けた「雪印メグミルク 特別仕様」を作っていただきました。現在、当社ではこの特別仕様を清浄度の高い部屋での標準仕様の塗り床として採用しています。
仕様の完成までには大変な手間と時間を要しました。エービーシー商会さんには、私たちの難しい要望に何とか応えようと奮闘していただいたのですが、この多大なご協力がなければ雪印メグミルク 特別仕様は誕生しませんでした。

4段階とは、具体的にはどのようにして表面構造に違いを出されているのでしょうか。

赤羽 表面にテクスチャー(質感)の違いを設けることで平滑性と防滑性を調整しています。例えば、タフクリートMHの表面に樹脂だけを塗布すれば平滑性が高くなり、樹脂に骨材を混入したものを塗布すれば防滑性が高くなります。また骨材の粒度や量を変えることで防滑性を調整することができます。
 エービーシー商会さんにはこうしたテクスチャーの異なるいくつかの塗り床のサンプルを作っていただき、現場のスタッフに確認してもらいました。でも、なかなかOKがもらえず、何度も何度もサンプルを作り直し、また施工後の段階でも現場での満足が得られず、塗り直すといったこともありました。
サンプルと実際に施工された床とは、やはり違いが出てしまうのですね。
 こうした失敗も重ねながら、最終的に現在の4段階の仕様が完成するまでには、2年以上はかかりました。

雪印メグミルク 特別仕様を使用されている現場からは、どのような評価が得られていますか。

赤羽 ひび割れに強く、耐久性の高さは確かに感じていますし、平滑性、防滑性についても高い満足度が得られているようです。当初は実際に施工し、使用してみて「汚れが落ちにくい」など現場から問題点が上がってくるようなこともありましたが、今回の磯分内工場での施工では、パーフェクトの域に達したという実感があります。