トイレは街中でホッとできる"個室"

小林さんは30年以上にわたり、数多くのトイレ空間を設計されてきました。それも、商業施設からオフィス、交通機関、教育施設、公園や広場まで、様々な用途の建物・施設で実績を重ねてこられましたが、そのなかで常に心掛けてきたことはありますか。

小林 考え方の基本にあるのは「個別性」です。公共空間のトイレというのは、街や施設内の喧騒から離れ、一人ひとりがホッと息をついて気持ちを和らげる場所になり得る。長年トイレを設計してきて、そんな思いを強くしています。
ですから、自分が設計したトイレを、建物全体のなかに当てはめて見たとき、トイレという個別空間をつくった気がするのです。

ただし、公共空間のトイレは、一人ひとりの個別性の高い空間であるのと同時に、利用者が共有する空間でもあります。プライベートな空間としては閉じていたほうがいいけれども、パブリックな空間という意味ではできるだけオープンなほうがふさわしい。そうした相反する条件をどう両立させて解くのか。いつもそのせめぎあいのなかで、個々のトイレにふさわしい空間の在り方を模索しています。

海ほたるPA 1階女子トイレ
海ほたるPA 1階女子トイレ

"癒し"の空間とメンテナンス性の両立が難しい

トイレという空間は、どのような視点でデザインしていくのですか。

海ほたるPA 1階女子トイレ
海ほたるPA 1階女子トイレ

小林 設計の条件やコンセプトは、トイレごとに異なります。同じ建物や施設内であっても、フロアごとに違った特徴があるし、トイレ周辺の使われ方にもトイレの位置付けは左右されます。
例えば、海ほたるPAの1階トイレは、大型バスの駐車スペースが近くにあり、とても広い空間です。このトイレでは、大きな空間を3つにゾーンを分けてデザインすることで、利用者の一人ひとりがプライベートな癒しの場だと感じられるようにしています。
まずは、そうしたトイレごとの位置付けを明確化することが大切です。

海ほたるPA 3階女子トイレ
海ほたるPA 3階女子トイレ

そのうえで、実際のトイレ空間については、いくつかのポイントに分けて考えることができます。
まず、トイレに入った瞬間、目に入るファサードやブースの壁をどのようにデザインするのか。トイレの第一印象として大切なポイントです。
次に挙げられるのは、手洗いやパウダースペースといった水場です。手洗いなどはトイレのなかでも過酷な使用条件にさらされる箇所ですが、同時にデザイン的にも非常に重要な箇所です。
さらに、各ブースの内部は、一人ひとりの癒しの空間としてデザインするようにしています。

空間デザインを追求する一方、日常のメンテナンスがしやすく、清潔で快適な状態が長く保たれるような設計の配慮も欠かせません。

小林 メンテナンス性だけを考えるならば、汚れが付着しづらかったり、手入れしやすかったりするツルツルとした素材を使えばいいでしょう。でも、人の心というのは、むしろザラザラとして柔らかな感触の素材のほうがホッとするものです。
そうした相反する条件を両立させるような素材選びという点でも、トイレを設計する難しさがあります。

メンテナンス性とデザイン性を兼備するコーリアン®

具体的にはどのような素材を使うことが多いですか。

小林 そもそもトイレという空間に適した材料は限られます。代表的なものとして挙げられるのは、タイルと石、メラミン化粧板、そして人工大理石の「コーリアン®」です。
これまでに何百というトイレ空間を設計してきましたが、これらの限られた素材を駆使して常にオリジナリティを打ち出していくのは意外に大変なのです。

海ほたるPA 5階男子トイレ手洗いコーナー
海ほたるPA 5階男子トイレ手洗いコーナー

なかでも手洗いのカウンターまわりなどは、水汚れに強く、メンテナンス性に優れた素材が必須です。最近は「ドライ清掃」も増えていますが、それでも全く水を使わないわけではないので、やはり水の影響を考慮しなければいけません。そうなると、なおさら使える素材は絞られ、メンテナンス性とデザイン性を兼ね備えたコーリアン®を使うことが自ずと多くなります。

海ほたるPA 1階女子トイレ
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