食品工場・厨房に最適な床材は? Part1

食品工場・厨房に最適な床材は? Part1

もくじ

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食の安全のための衛生管理

「食の安全」を守るためには、食品工場や厨房などの製造環境での徹底した衛生管理が重要です。万が一、製品への異物混入や食中毒の原因となる細菌・ウイルスなどによる汚染が発生した場合、消費者に対して深刻な危害を及ぼしてしまいます。
しかし、徹底した衛生管理といっても、現場によって対応はさまざま。そこで、こうした危害につながる要因を科学的根拠に基づいて取り除こうと、多くの食品工場では、国際的な衛生管理手法である「HACCP(ハサップ)」が取り入れられています。では、食品工場や厨房の床の設計に当たって、この衛生管理の「手法」とどのように関わってくるのでしょうか。今回のコラムでポイントを解説します。

HACCPの制度化と床

食品安全を守る製造環境

そもそもHACCPとは、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、 Control(管理)、Point(点)の頭文字だけで構成された造語で、すなわちこの手法には「危害分析」と「重要管理点」の2つの要素があります。

「機械の部品が落ちて製品に混入しないか」(=物理的危害要因)「鍋の温度が低下して殺菌が不十分になる可能性がないか」(=微生物学的危害要因)「アレルゲンの交差汚染につながる可能性がないか」(=化学的危害要因)などを一つ一つの工程から抽出・分析し、対策を施して、さらに万が一異物が混入したり、菌に汚染されてもリセットできたり、そこから先に製品が出荷されないよう重点的に管理する工程を定めます。細かくは「7原則12手順」(表)という各要件があり、計画を立てながら現場に落とし込んでいきます。

このHACCPは、特に重要な管理要件について抽出・分析し、危害を防ぐ手法ですが、その基礎となるのが「一般衛生管理」(一般的衛生管理プログラム、前提プログラム、前提条件などとも呼ばれます)です。そこでは、管理要件として「製造環境が食品を汚染しないよう清浄な状態に整備され、維持されること」と定められています。つまり、HACCPの手法を確実なかたちで構築・運用するためには、あくまでこの要件を満たしていることが前提になるのです。

それでは、食品工場にとっての「床」を考えてみましょう。人や台車などが激しく行き交う製造現場。床が割れていたり、ひびが入っていたりすると、細菌が繁殖したり、小さな破片が製品に混入したりする可能性があります。従って、床も食品安全の観点から管理がとても重要な「製造環境」の一つなのです。

HACCPに沿った衛生管理の制度化が施行へ

HACCPについては最近、大きな動きがありました。食品衛生法が15年ぶりに改正され、2018年6月13日に交付されました。この改正食品衛生法で特に注目されたのが、「HACCPに沿った衛生管理の制度化」です。食品メーカーから運搬業者、販売業者、飲食店まで、その規模にかかわらず全ての食品事業者に対し、猶予期間を含めて2021年6月までに、一般衛生管理に加えてHACCPに沿った衛生管理の実施が事実上、義務化されるというものです。
HACCPの基礎となる一般衛生管理の中で、「壊れにくい床」「清掃・洗浄しやすい床」「細菌が繁殖しにくい床」など、今後は床の在り方に対する意識がより高まるといえます。

※HACCP International認証マークとは?

HACCP International認証マーク

食品産業に使われる機器や設備を食品安全の見地から見て適切かどうか、第三者機関であるHACCP International社(オーストラリア)が認証するものです。

エービーシー商会の取扱商品のなかでは、2022年6月に塗り床材が、書類審査と稼働中の現場に対する第三者の審査を経て、清掃・洗浄がしやすく衛生的な床であることが認められました。

エービーシー商会のHACCP International認証取得商品

特殊防滑長尺シート床材

●「アルトロセーフティーフロア」
(製造メーカーaltro社により2011年に認証マーク取得)

水性硬質ウレタン系塗り床材

●「タフクリートMH」

●「タフクリートSD」

●「タフクリートMW」

●「タフクリートFL」

ドライシステムと床

伊勢崎市第一学校給食調理場
旭川市東旭川学校給食センター

「床」をより衛生的に維持するために有効な運用方法として「ドライシステム」があります。近年、給食センターや厨房などではこの「ドライシステム」で管理するケースが増えています。
常に床に水を流しながら作業を行う従来のウエットシステムと異なり、ドライシステムは製造時には基本的に床に水を流さない製造環境を指します。水や湯を機器から床下の排水管へ直接流すため、床が濡れにくく、常に乾燥させた状態を維持できます。
従って、主に次のようなメリットが得られます。

  • ①雑菌の繁殖が少ない
  • ②水を使用しないため、床勾配を小さく、あるいはなくすことができる
  • ③滑る危険性がなくなる

特に①はHACCPの基礎となる一般衛生管理の要件に沿うため、今後もよりドライシステム採用への関心は高まると見られます。

しかしながら、食品工場や厨房の場合、食品残さや油などによる汚れが必ず排出されます。そのため、作業終了後には水や温水を使用した確実な洗浄を行う必要があり、実際には全エリアで完全にドライに保つことは非常に困難です。従って、ドライシステムを軸に設計する場合でも、場所によってはウエットな環境にも耐えられる床材を組み合わせて選ぶことが求められます。

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