大規模修繕前の取り組みとして、23年は①施設の蛍光灯をLED照明に変更、②置敷き型長尺塩ビシート床材「リコンテ」を施工の2点を行った。

長峯行太施設長は「照明器具の不具合や修理が増えていることや近年の電気代高騰などもあり、エネルギー消費量を抑えるためにもLED照明に変更したいと思いました。
また、施設の床に凹凸があり利用者の転倒リスクなどがあったのでまず初めに取り掛かる部分としてこの2つを選択しました」と語った。

また外灯も全てLED化したことで地域防犯の向上も期待できるという。

稼働止めない床材選択

床材はフローリングの張り替えを検討したが、床暖房が入っているため費用面・工事期間の問題や、工事期間中に代替施設の活用などは認知症の高齢者が多い本施設では症状が悪化するリスクなどの課題があった。

それらの課題解決のためにエービーシー商会(同千代田区)が販売する置敷き型長尺塩ビシート床材「リコンテ」を採用。
同製品は接着剤を使わない、既存床の上からも貼れる、利用者が居ながら改修できるなどの特徴があり、傷みやすい水回りの近くも修復しやすい点が決め手になったという。

リコンテの施工に関しては10月中旬から約1ヵ月間実施。
浴室とデイはデイの休日に全て終わらせた。
各居室内の施工では利用者が食堂に移動している数時間で行うなど、稼働を止めないことに注力。
施工音は小さく、接着剤特有の臭いもしないため、施設のスタッフも特に気にならなかったという。
共有エリア、パントリー、トイレなどを施工し、地下1階から地上3階までの約2000平米の工事を行った。

改修前
フローリング

改修中
フローリングの上から両面テープを貼り付けし、リコンテを施工

↓
改修後

介護スタッフの感想としては、「掃除しやすくなった」、「広く感じるようになった」などの声が挙がる。施設の雰囲気が変わった結果、採用応募の連絡も増えて好影響が見られるという。

今年の大規模修繕では壁紙や居室内のレイアウト、施設外側の防水工事などを予定している。

「利用者がいつも通り過ごせてスタッフが働きやすい環境の両立を目指したいです」(長峯施設長)

密な連携、期限内に施工

床の張り替え中のトラブルとしては、工期中に2階フロアでインフルエンザの感染者が出てしまい、一時的に2階の施工ができなくなってしまいました。
そのときに施工業者と密に連絡を取り、代わりにほかのフロアを行う方法などを採用し目標の1ヵ月間で施工できました。

施工業者からは「これから施工音が少し大きくなりますよ」、「工事中のこの箇所を通る際にこの点に気をつけてほしい」などの注意喚起を都度声かけしてもらい、さらに朝礼の申し送りにも毎回参加してくれたので無事に終わりました。

特にデイの事業所責任者としてはデイと廊下や事務所の境界を色分けしてもらえたことで見た目で境界が判断でき、業務改善や安全面の向上に寄与できたと思います。(優っくりデイサービス沓掛佐藤貴美子事業所責任者)