カラーや仕上げで意匠性に幅広い対応力

使用環境に併せてカラーを使い分け

工期・コスト上のメリット以外にも、目を向けておきたい点があります。それは、対応力の幅広さです。同じ「コンクリート一体型」でも、その材料に含まれる成分や仕上げの方法によって、さまざまな環境に対応できるのです。
冒頭にご紹介した事例も、その対応力の幅広さを意匠性の観点から示したものです。この点をあらためて整理しておきましょう。

使用環境に併せてカラーを使い分け

まず使用環境に併せた「カラー」の使い分けです。例えば工場であれば、疲れを癒す効果が認められるグリーン系の色を用いる例が多く見られます。
仕上げ材料のカラーはその中に含まれる顔料で決まります。顔料を変えることで、豊富なバリエーションを用意することが可能です。

色がもつ効果の例

  • 緑

    ●疲れを癒す
    ●リラックス作用
    ●目の疲れに効果

  • 茶

    ●調和を保つ
    ●穏やかな気持ちに

  • グレー

    ●安心感がある
    ●控えめな印象

研磨機で「磨き」を掛ける仕上げも

さらに最近は、「磨き」という仕上げ方法も加わりました。
「コンクリート一体型」では通常、表面を金ゴテで押さえて仕上げます。冒頭でご紹介したように、「型押し」はその最終仕上げのバリエーションの一つと言えます。
そこにさらに、「磨き」という新しいバリエーションが加わったのです。
これは、通常の金ゴテ押さえを機械ゴテ押さえに置き換え、床面をより緻密で平滑に仕上げます。その後さらに研磨機で磨きを掛け、表面処理材を塗るというものです。床面は通常の仕上げ以上に美しく、しかも汚れにくくなります。

研磨機で「磨き」を掛ける仕上げも
磨き処理

骨材の違いで耐久性にも幅広い対応力

現場で仕上げる湿式工法の強み

「コンクリート一体型」は現場で仕上げる、いわゆる湿式工法です。材料の成分や仕上げの方法を変えることによって、求められる意匠や性能に柔軟に対応していくことが可能です。成型品を取り付ける、いわゆる乾式工法とは、そこが大きく異なります。
こうした対応力の幅広さは、意匠性だけでなく、耐久性にもみられます。

現場で仕上げる湿式工法の強み

ここでいう耐久性とは、床仕上げそのものがどれだけ長持ちするか、そしてコンクリート床をどれだけ守り続けられるか、という性能です。
床に掛かる負荷は使用環境によって異なります。車両が頻繁に走行し重量物の落下も想定される生産・物流系の施設では、コンクリート床の仕上げには使用環境に応じた耐久性が求められます。

骨材には、鉱物や金属を用いる

その耐久性を確保するには、摩耗や衝撃に対する強さが不可欠です。「コンクリート一体型」でそのカギを握るのは、仕上げ材料に含まれる骨材です。その種類によって耐久性を高めることが可能なのです。
骨材の基本は、鉱物骨材金属骨材です。金属骨材は鉱物骨材に比べ耐摩耗性や耐衝撃性、導電性が高いです。例えば車両走行がより頻繁で床の摩耗が進みそうな環境や重量物による衝撃が発生する環境、静電気障害対策として高い帯電防止性能が求められる環境に向いています。
古くは、この鉱物骨材や、そこに金属骨材を混ぜ合わせたものが使われてきました。その後、使用環境の広がりに併せて、全てを金属骨材にしたものや、鉱物骨材でもより大粒のものも使われるようになってきています。

航空機格納庫の仕上げにも対応

大粒の鉱物骨材を用いたものは、航空機格納庫などヘビーデューティー仕様の求められる使用環境にも対応できます。鉄車輪走行が見込まれる床や防滑仕上げのスロープ、重衝撃を受ける床でも安心して、「コンクリート一体型」で仕上げることが可能です。

航空機格納庫の仕上げにも対応

「コンクリート一体型」の最大の特長は、実を言うと、この耐久性の高さです。工場や倉庫などでは、コンクリート床仕上げの定番として利用されてきました。しかも多くの施設では、床を「コンクリート一体型」で仕上げてから20~30年経過してもなお、その機能は健全さを保ち続けています。どのようなメカニズムでその耐久性の高さを発揮するのか――。詳しくは、次回で解説していきます。

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ABC商会の「コンクリート一体型」床仕上げ

デザインクリート/ペーストデザインクリート
コンクリート表面にパターンマットを押し当て立体感のある自然石や木目模様を多彩に表現する床仕上材。
ペーパーステンシル
コンクリート打設と同時に型紙で仕上げるスピード施工。
凹凸の少ないバリアフリー床に。
カラクリート
コンクリートと一体化する耐久床のスタンダード。鉱物骨材を配合し多彩なカラーを展開。
フェロコン
合金骨材配合ですぐれた耐摩耗性と耐衝撃性を発揮。
工場・倉庫などに最適。
べスコンカラー
鉱物骨材配合で耐海水・耐塩化物性をもち臨海地域に最適。
AGV走行にも対応。
カラーハードEM
大粒の硬質鉱物骨材配合と厚撒き仕上げで驚異的な耐摩耗性と耐久性を実現。
フェロコンハードS(スタンダード)散布工法
コンクリートと一体化する高耐久床。特殊合金骨材配合で抜群の耐摩耗性と耐衝撃性を発揮。
フェロコンハードC(非磁性タイプ)散布工法
セラミック骨材配合でAGV走行に対応。塩水のかかる卸売市場・漁港に最適。
モノリシック・コンプリートフロアシステム
コンクリートと一体化するモノリシック床を緻密で平滑にし、汚れにくくする専用システム。